中小企業の事務作業を効率化し、少ないリソースでも最大の成果を得るための具体的な方法を解説します。本記事では、ペーパーレス化やRPA導入などの手法を詳しく紹介し、無料または低コストで始められるツールや成功事例を共有します。事務作業効率化を通じて業務を最適化し、競争力を高める第一歩を踏み出しましょう。
事務のデジタル化を行うメリット
事務のデジタル化を行うメリットは以下です。
- 属人化の解消・防止
- 紙や転記時間のコストの削減
- 手作業による人的ミスの削減
- 情報共有スピードの向上
事務作業のデジタル化は、DXの第一歩として重要です。デジタルツールを活用することで、業務効率の向上だけでなく、仕組み化された企業運営を可能にします。
事務デジタル化で重要な3つのポイント
これから初めて事務のデジタル化に取り組む企業様は、以下のポイントが重要です。
- まずは小さくスタートする
- 最小限のコストで、最大の成果が出る箇所を見つける
- 現場の効果の実感のしやすさを確認する
それぞれ解説していきます。
まずは小さくスタートする
事務作業DXをこれから始めようとする企業様は、以下のようなお悩みがあるのではないでしょうか?
- 現場がついてこれるか心配
- どの業務から手をつけて良いかわからない
- 本当に費用対効果が出るのか不安
こういったお悩みはデジタル化をご支援する中で、非常に多く頂戴します。
そこで重要になってくるのが、「まずは小さくスタートする」という事です。
例えば、会計業務全体のプロセスのDXと経費精算領域のみのDXでは、経費精算のDXの方が手軽に始める事ができます。このように、まずは小さな業務範囲を選んで小さくDXを始めることが重要です。
初めからいきなり広範なプロセスを対象のプロジェクトにしたことによって、失敗してしまうケースのも耳にします。
- バックオフィス全体の業務を一気にデジタル化を導入
- 現場への説明やマニュアル化が間に合わない
- データ入力ミスが多く、修正作業が大量発生
- 各現場は結局前のエクセルを使い始める
- データの二重管理が発生
- 新しく導入したシステムの運用費は発生し垂れ流しに
最小限のコストで、最大の成果が出る箇所を見つける
では、その「小さな業務領域」をどのように選定すれば良いのか?について解説します。
その際に重要な視点が、「最小限のコストで最大の成果が出る業務領域はどこか」という観点です。
まずは「コスト面」。現在は一定の範囲なら無料のツールもかなり多くありますので、そういったツールを活用することでコスト面を下げることは可能です。
次に「成果」ですが、「今時間がかかっている業務」を洗い出してみましょう。
- 請求書の印刷・封入・郵送作業
- 契約書の印刷・封入・郵送作業
- タイムカードの印刷・封入・集計作業
このように、無料ツールも含めた選択肢の中で、コスト側と成果の大きさの差が最も開いた業務からデジタル化に取り組んでいくのが良いでしょう。
現場の効果の実感のしやすさ
デジタル化の上での重要な観点が「現場の効果の実感のしやすさ」です。
特にこの観点は、DXをこれから始める企業・はじめて始める企業にとって重要です。
いくら無料ツールでコスト抑えて、大きな成果が期待できるプロジェクトでも、そもそもツールを現場が正しく利用してくれない限りは始まりません。
- 経営層が情報の可視化をしたいがために、莫大な入力項目が存在
- ツールの操作ボタンが多すぎて、現場が使えない
- エクセルや紙も残っていて二重入力状態
上記のような状態では、現場からすると「負担が増えた」と感じてデジタル化への抵抗を示す可能性が高まります。
しかし、例えば以下のような形だといかがでしょうか?
- タイムカードの印刷・封入・郵送業務がゼロに
- 各拠点の打刻情報が勝手に集計されるため集計の手間がゼロに
- 従業員が勤怠を自分のスマホ・PCから見れるので問い合わせが減った
上記のような形の場合は、現場の事務担当の方も業務効率化の効果を実感しやすいのではないでしょうか?
事務業務のデジタル化の5ステップ
さて、それではここからは具体的な事務業務のデジタル化のステップについて見ていきましょう。
ステップ1:現状の業務の洗い出しと優先順付け
ステップ1では、現状の事務業務がどのような業務があるのかを洗い出します。その後、工数の大きい順に並べます。
はじめてのDXの場合は、まずは負担が特に大きい上位1~5位を並べてみましょう。
- 自社の中で工数の大きい業務を抜け漏れなくリスト化できているか
- 実現可能性に関わらずリスト化できているか(生成AIの進化で解決できる可能性あり)
ステップ2:解決策の方法と費用の調査
次に、先ほどのステップ1で洗い出した負荷の高い業務に対しての解決策と費用を洗い出します。
- 無料枠や無料期間で試す事ができるか
- 自社の想定しているケースと類似の事例が公開されているか
- 自社の企業規模・業種と類似の事例が公開されているか
ステップ3:費用対効果の算出
次に、先ほどのステップ1とステップ2の内容を組み合わせることで費用対効果の算出を行います。
ステップ4:現場目線でのデジタル化のメリットの明確化
既にデジタル化を何度も行なっている場合はこちらのステップは不要ですが、
初めてのデジタル化やデジタル化をスタートしたばかりの際は、現場目線でのメリットの明確化をしっかりと行う事がおすすめです。
- ツールの導入による現場目線でのメリットを言語化できているか
- ツールの導入によって管理者側が実現したい目的を言語化できているか
例えば先ほど同様、勤怠管理業務の事務作業のデジタル化を行う場合を例にすると以下です。
- タイムカードの印刷・封入・郵送作業がなくなる
- 各拠点の打刻情報の集計作業がなくなる
- 従業員が勤怠を自分のスマホ・PCから見れるので問い合わせが減る
このような具体的なメリットがあると、現場メンバーも「デジタル化の面倒さ<デジタル化のメリット」と感じやすいでしょう。
また、管理者目線でどういう意義があり今回のデジタル化を行うのかもしっかりと言語化しておく事も重要です。
- リアルタイムに勤怠情報を見て働きすぎにすぐに気づける健全な職場環境の実現
- 特定のメンバーへの負荷にすぐに気付き対策を打つ、離職ゼロの職場の実現
- 勤務時間の集計ミスを仕組み化でなくすことで、給料計算ミスがゼロの職場の実現
こういった内容を一つ一つ丁寧に伝えることで、現場としては実利の面でも感情面でもデジタル化の推進に対してのメリットを認識し、より協力をしてくれることが期待できます。
ステップ5:デジタル化ツールの導入
そして、以上のステップを踏まえた上で費用対効果が大きく見込める業務プロセスからデジタルツールを導入しましょう。
- 入力項目が不必要に多すぎないか
- 運用ルールはシンプルになっているか
- 現場担当が操作が分からない時のヘルプ先を理解しているか
具体的な事務デジタル化ツールの種類
さて、ここまで事務業務のデジタル化を進める5つのステップについて見てきました。
ここからは、事務業務を進める上でどのような選択肢があるのかについて見ていきたいと思います。
今回は、代表的な4つの事務業務のデジタル化の種類について見ていきましょう。
- 1.ペーパレス化
- 2.業務プロセスの自動化(RPA・AI)
- 3.業務プロセスの統合(API統合)
- 4.情報共有のデジタル化
ペーパレス化
まずはペーパレス化です。ペーパレス化を行うことで、紙や人件費のコスト削減はもちろん、情報の検索も容易になります。
- 発注書や請求書の電子化
- 電子契約の導入
- 紙ベースの社内申請書の電子フォーム化
業務プロセスの自動化(RPA・AI)
次にご紹介するのが、デジタルを活用した業務プロセスの効率化です。
- 請求書や領収書をAI-OCRで自動入力
- 経費精算を自動重複チェック・インボイスや税区分を自動判定
- システム連携でPOSシステムの情報を他データと合わせて自動集計
業務プロセスの統合(システム連携)
次にご紹介するのが、業務プロセス統合による効率化です。
先ほどは単一業務のDXによる効率化をご紹介しましたが、今回はシステム連携を行うことで業務プロセス同士を繋ぐことで、各種集計業務を効率化します。
- POSシステムで販売が発生すると、在庫数を自動反映
- POSシステムと他データソースを繋ぐことで、利益率をリアルタイムに自動集計
- 勤怠システムと給与システムを連結することで、給与計算を自動化
情報共有のデジタル化
最後にご紹介するのが、情報共有のデジタル化による効率化です。
現在は電話やメールで行っているコミュニケーションのやり取りをチャットツールに切り替えることで、コミュニケーションスピードの向上や情報の一元化を行います。
- プロジェクトやチーム毎にトークルームができるので、会話内容を見返しやすい
- トークルームに資料が紐づくので、資料を探す手間が省ける
- 承認プロセスをチャットツールに統合する事で、外出先から承認のやり取りが可能に
事務デジタル化のまとめ
いかがでしたでしょうか。今回の記事では
- 事務のデジタル化の重要な3つのポイント
- 事務のデジタル化の5ステップ
- 具体的な4つの種類
についてご紹介いたしました。
弊社では今回ご紹介した5つのステップを社内担当者として外部のプロフェッショナルが代行するサービス「代わりにDX担当」を提供しております。
まずは60分間無料相談がございますので、是非お気軽にご相談ください。