これまでAIの活用といえば、ChatGPTに代表される「生成AI」が話題の中心でした。
しかし現在、ビジネスの現場では、タスクを自律的に実行する「AIエージェント」への注目が急速に高まっています。
たとえば、営業支援やカスタマーサポート、社内業務の自動化まで、これまで人が対応していた一連の業務をAIが代行する事例も登場し始めています。
とはいえ、「AIエージェントって結局なに?」「生成AIとは何が違うの?」と感じる方も多いかもしれません。
本記事では、2025年時点の最新動向を踏まえ、「AIエージェントとは何か」を基礎からわかりやすく解説します。
AIエージェントとは?
AIエージェントとは、あらかじめ与えられた目的に向かって、自律的にタスクを遂行するAIの総称です。
人が都度指示を与えるのではなく、「達成目標」「利用・アクセス可能なツール」を設定することで、状況に応じて判断・実行・再調整を繰り返しながら、ゴール達成を目指します。
AIエージェントの5つの特徴
特徴①:自律性
1点目の特徴は「自律性」です。
従来の生成AIは、人間の指示に応じた文章生成・画像生成など、あくまで「応答」に特化しており、自ら動くことはありませんでした。
しかし、AIエージェントは事前に目標やルールを定義しておくことで、人間の指示なしで意思決定を行います。
特徴②:実行力
2点目の特徴は「実行力」です。
AIエージェントが従来のAIと決定的に違うのは、「実際にアクションの実行まで行う」という点です。
たとえば、営業シーンでは以下のような流れを人手を介さずにAIが実行できます
- 問い合わせフォームから新規リードが入る
- 自動でCRMに登録し、担当営業にSlackで通知
- 営業担当のGoogleカレンダーを確認して空いている時間帯を抽出
- 顧客に候補日程を自動送信し、返信をもとに日程を確定
- 顧客のWebサイトや過去の商談履歴をもとに、会社概要や提案ポイントを自動で事前整理
- 当日のWEB会議URLを自動生成し、顧客と営業担当にリマインド送信
このように、営業担当は「WEB会議に参加するところから」業務をスタートできるほど、AIエージェントは業務を巻き取ることが可能です。
特徴③:社会性
3点目の特徴は「社会性」です。
AIエージェントは他のエージェントやシステム、人間と連携・協調しながらタスクを遂行する能力を持っています。
たとえば、社内のスケジュール調整エージェントが営業エージェントと連携し、日程が決まったタイミングでSlackの通知やWEB会議のURL作成まで自動で分担。必要があれば、人間に判断を仰ぐような「確認のやりとり」も自然にこなします。
特徴④:タスクの連続性
4点目の特徴は「タスクの連続性」です。AIエージェントは複数工程を繋げて"業務の流れ"として遂行することが可能です。
「営業担当が商談受注に向けた提案を行う」というゴールに向かって、
- メールの返信
- 顧客とのアポイント調整
- 事前リサーチや提案準備
といった業務をバラバラではなく“つながったタスク”として自動的に実行します。
特徴⑤:実行結果に基づく自己学習
5点目の特徴は「自己学習」です。
AIエージェントは、実行したタスクの結果を蓄積・分析し、自ら学習・改善を重ねていくことができます。
たとえば、初回の営業アプローチで開封率が低かったメールの件名や文面を記録し、次回以降は開封率が高かったパターンを優先的に使うように調整することが可能です。
また、顧客の返信が遅かった場合は、リマインドのタイミングや文面を自動で最適化するなど、「使うほどに賢くなる」特性が活きてきます。
AIエージェントの特徴を押さえたところで、次は「生成AIとどこが違うのか?」について見ていきましょう。
AIエージェントと生成AIの違い
AIエージェントと生成AIは、どちらも人工知能の一種ですが、その目的や機能には明確な違いがあります。以下に主な違いを簡潔にまとめました。
項目 | 生成AI | AIエージェント |
---|---|---|
目的 | コンテンツの生成(文章、画像、音声など) | 目標達成のための行動、タスク遂行、意思決定 |
動作の起点 | ユーザーからの指示に基づく応答 | 環境の観察や状況に応じた能動的な判断と行動 |
相互作用性 | 基本的になし | 環境を観察し、変化に応じて計画・行動を柔軟に修正 |
自律性 | 低い(指示が必要) | 高い(目標に向かって自律的に動作) |
代表的な例 | ChatGPT、Midjourney、DALL·Eなど | AutoGPT、BabyAGI、スマートホーム制御AIなど |
このように、生成AIは「コンテンツ生成」に特化し、AIエージェントは「目標達成に向けた自律的な行動」に強みを持っています。
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仕組みの差が分かったところで、実際にビジネスでどう使われているのか具体例を見てみましょう。
AIエージェントの活用事例
AIエージェントは、単なるチャット対応ではなく「業務をまるごと任せられる存在」として、営業・カスタマーサポート・社内業務など幅広い領域で導入が進んでいます。
たとえば、以下のような活用シーンが登場しています。
- 営業支援:リード獲得~提案準備を自動化。営業AIエージェント事例を見る
- カスタマーサポート:24時間対応+自己学習で解決率UP。サポート事例を見る
- 採用面接:AI面接官が一次面談→評価シート生成。面接AI事例を見る
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活用シーンがイメージできたところで、ここからはAIエージェントの導入メリットについて見ていきましょう。
AIエージェントの導入メリット
メリット①:プロセス全体の生産性が向上する
AIエージェントは、単発タスクではなく「一連の業務プロセス」を自律的に実行できるのが強みです。
営業支援やカスタマーサポートなどの領域で、業務全体の処理速度や対応品質が大幅に改善されます。
メリット②:属人化を解消できる
業務のノウハウや判断をAIエージェントに集約することで、「特定の担当者に依存した運用」から脱却できます。
人の異動や退職による業務停滞リスクを軽減できる点も大きな利点です。
メリット③:人件費の削減が可能
ルーチン業務をAIエージェントに任せることで、人的リソースをより戦略的な業務に集中させられます。
結果として、長期的な人件費削減と業務コストの最適化が期待できます。
メリット④:24時間365日対応が可能
人では難しい「深夜・休日の問い合わせ対応」や「常時モニタリング業務」も、AIエージェントならノンストップで対応できます。
対応スピードや顧客満足度の向上にも寄与します。
メリットだけでなく、導入前に押さえておきたいリスクや注意点も確認しておきましょう。
AIエージェント導入の注意点
注意点①:導入初期コストが発生する
AIエージェントはプロンプトだけで完結する生成AIと異なり、業務設計・ツール連携・運用設計など初期構築に時間とコストが見込まれます。
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注意点②:継続的なチューニングが必要
導入して終わりではなく、実際の運用結果を踏まえた継続的なチューニングと改善の工数と費用を準備する必要があります。
また、保守人員や定期的なログ確認やナレッジ更新を行う体制も求められます。
注意点③:回答や挙動が安定しない場合がある
AIエージェントは柔軟性がある反面、曖昧な指示や例外パターンに対して予期しない挙動を見せることもあります。
そのため、顧客との直接の折衝が発生する業務や、間違いが起きると信頼失墜やクレームにつながる領域では、慎重な設計と十分な検証が必要です。
注意点を理解したうえで、次に気になるのが「どのツールを選ぶか」です。
ツール選定のポイント
AIエージェント導入では「SaaS一体型」か「構築サービス型」を最初に決めると、選定がスムーズです。
両者の違いと判断軸は AIエージェント実装ガイド で詳しく整理していますが、要点を比較表にまとめました。
項目 | SaaS一体型 | 構築サービス型 |
---|---|---|
概念 | データベース(箱)とAIエージェントが統合されており、既存システムに即座に組み込める形態。 | 独立したデータベースとAIエージェントを組み合わせて使用し、柔軟なカスタマイズが可能な形態。 |
特徴 |
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具体例 |
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ツールが決まったら、導入に向けて具体的に何をすべきかステップを追って解説します。
導入ステップ
ツールが決まったら、次は導入に向けた準備です。導入に向けたステップは主に以下のようになります。
- ステップ1:課題の整理とスコープ決定
- ステップ2:データ整備とシステム環境の確認
- ステップ3:サービス選定と比較
- ステップ4:導入計画の立案
- ステップ5:実装と改善
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ここまでで全体像を網羅しましたが、よくある質問についても見ていきましょう。
よくある質問(FAQ)
AIエージェントと生成AI(ChatGPTなど)の一番の違いは何ですか?
生成AIは文章・画像などのコンテンツ生成に特化し、人が指示するまで動きません。AIエージェントは目標達成を目的に外部ツールを操作し、自律的に判断と行動を繰り返す点が決定的に異なります。
中小企業でも AIエージェントを導入できますか?
はい。SaaS一体型サービスなら初期 30 万円前後から始められ、サーバ管理や高度な開発なしでトライアル導入が可能です。
導入までの期間はどれくらいかかりますか?
SaaS型は 2〜4 週間、業務特化の構築サービス型は 2〜3 か月が目安です。データ整備とワークフロー設計に最も時間を要します。
費用はどのように発生しますか?
初期構築費に加え、LLM トークンや外部 API 利用に応じた従量課金が発生します。詳細はAIエージェントの費用解説記事をご覧ください。
導入時に注意すべきリスクは?
個人情報漏えい・誤動作による信頼失墜・継続的チューニング工数が主なリスクです。テスト環境で十分に検証し、監査ログを取得できる設計が必須です。
どの業務から始めるのが効果的ですか?
最初はメールのドラフト作成・事前リサーチ・社内FAQ対応チャットボットなど社内向けかつ間違いが致命的な問題になりにくい業務からスタートするのがオススメです。具体的な活用シーン例についてはAIエージェント事例10選をご覧ください。
まとめ:AIエージェントとは?
AIエージェントは自律的な判断からタスク実行までを行い、営業やカスタマーサポートなど定型業務を一気通貫で自動化できる技術です。
導入工数やコストは生成AIに比べ高く、継続的なチューニングも必要です。しかし成功すれば24時間稼働・人件費削減・業務の仕組み化まで大きな効果が期待できます。
導入を検討する際は、まずはメールのドラフト作成・事前リサーチ業務など小さく始められるプロセスでPOCを行い、ROIとリスクを測定したうえで段階的に適用範囲を拡大する方法がオススメです。
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